飛球線と同じ高さでラケットをセットしているのが原因だ

 ビデオではボレーされたボールの飛びが悪く、当たりの悪い場面が数多く映っています。ラケットを短く持って、ボールの衝撃に負けないようにしているのにもかかわらず、です。このビデオを生徒に見せて、和田さんの悩みの原因を聞いてみましたが、ボレーに対する恐怖心とか、力がない等の意見しか出ず、正確には得られませんでした。私は確信を持って和田さんが打点をつかめないと悩んでいる原因は、ボールがうまく飛ばず打った感触が悪い点だと思います。
なぜなら、ボールがラケット面の端にしか当たっていないため、ボールも飛ばず、手の感触が悪いために、打点が悪いと錯覚しているからです。皆さんも、ラケットにボールを当てて実験してみて下さい。同じ端でも、ラケットを握る際に主力となっている、小指、薬指、中指に近い下端なら、面を保つのが容易で衝撃も小さいが、人さし指と親指ではさむだけの上端側は、ラケットが衝撃でまわりやすいことがわかると思います。
では、和田さんがラケットの上端にボールを当ててしまう根本原因はどこにあるのでしょうか。それは、ボールの飛球線の高さにラケットを構え、その位置からラケットを下げてボールを捕らえようとする結果、ラケットの上端に当てることになってしまうからです。もう一度、プロの写真をご覧下さい。飛球線より上方にラケットを構え、そこからボールの高さに下げて、ラケットのセンターでボールを捕らえています。
 

ラフターのフォアハンドボレー

ラフターのラケットの動きに注目して下さい。
飛球線より上方にラケットを構え、
そこからボールの高さに下げて、
ラケットのセンターでボールを捕らえています

スイートスポットを外すと飛びが悪くなるのは当然

 和田さんがラケットでボールを捕らえた打点だけを集めた、右の4枚の写真をご覧下さい。
 いずれも、ラケットの上端や先端でボールを捕らえています。このように、ラケットの上端や先端にボールを当てると、ラケットの構造上、スイートスポットを外れているため、飛びが悪いばかりか、ラケットから手に伝わる衝撃が大きく、ラケット面が崩れやすくなってしまうのです。

コレッチャのバックハンドボレー

コレッチャのラケットの動きも同様です。上から下に振り下ろされていることがわかります

 


   
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