ボールが浮き上がるのは上体が回転を伴っているからだ

 では、なぜ思うようにアンダースピンがかからず、ボールが浮き上がってしまうのでしょうか。それは、ずばり上体が回転を伴っているために、ボールをすくい上げる打ち方になってしまっているからです。
 藤木さんとしては、アンダースピンを打とうとできるだけ長いフォロースルーをとったつもりなのですが、上体が回転してひらいてしまうために、結果 的に、ラケットがボールをすくい上げるようになってしまうのです。これは、ボールを捕らえた写 真6の時のラケットの高さよりも、フィニッシュの写真7と8のラケットの方が高くなっていることでもおわかりになると思います。
 一方、左のコーチの写真では打点時のラケットの高さよりも、フィニッシュではさらに下がっていことがわかります。藤木さんのラケットの動きとボールの飛ぶ方向を真上から見ると、図1のようになります。
 ラケットが回転してしまうため、ボールの飛ぶ方向へのフォロースルーが短くなり、ボールをカットしてしまう形になると同時に、先に指摘したようにボールをすくい上げるラケットの軌道のために、ボールが浮き上がってしまうのです。藤木さんの矯正ポイントは打点よりさらに低くフィニッシュし、身体がひらかないように打つことです。さっそく、ドリルに取りかかりましょう。

 

上体が回転しないスライスショット 

 

上体が回転するトップスピンショット

 つい最近まで、プロの人たちの片手打ちバックハンドストロークは、上体を回転させない打ち方でした。
 しかし、最近では、オープンスタンスでバックハンドを打つ選手が現れてきました。彼らは、上体を回転させ、完全に身体をひらいてフィニッシュしています。テニスをごく最近始められた藤木さんが、彼らの打ち方を真似するのはごく当たり前のことで、決して悪いことではありません。というのは、一流プロの真似をするのは、その技術をマスターする近道だからです。
 けれども、ここにちょっとした勘違いや“落とし穴”があるのです。皆さんがこういった落とし穴に入らないように、プロの身体をひらいてトップスピンを打つ時と、アンダースピンを打つ時を上のコーチの写 真で比較してみましょう。
 トップスピンを打つ時には、上体をひらいてフィニッシュしているコーチでも、アンダースピンを打つ時には、身体をひらいていないことに注目して欲しいのです。
 同じアンダースピンを打った時のコーチと藤木さんでは、どこが一番違うでしょうか。それは、フィニッシュでのラケットの位 置と両肩を結ぶ線との関係です。コーチのフィニッシュでのラケットの位置は、両肩を結ぶ線より、はるか後方にあるのに、藤木さんのラケットは、写 真8のように、両肩を結ぶ線より前方にあることがおわかりになるでしょう。


   
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