構える時のベタ足とラケットの  
    位置が低いのが根本的な原因

 山口さんの打法とトッププロの打法を比較してみましょう。
 前ページの足の動きをご覧下さい。右利きなのでわかりにくいと思いますが、杉山愛プロは、足を下げる代わりに右足を前方に踏み込み、ラケット面をつくりボールを捕らえていることが一目瞭然です。この足を前方に踏み込んでボールを捕らえるのと、山口さんの足を下げてボールを捕らえるのとでは、下の写真に示すように、リーチが大きく異なり、ボレーでカバーできる範囲に大きな差が出てきます。
 山口さんに試合中のボレーミスが出やすいのは、このカバーできる範囲が狭いということがひとつの原因です。しかし、山口さんご自身は、広くカバーしようと構えているのですが、来るボールに差し込まれてしまい、どうしても足を後方に下げて、ラケットをボールに合わせざるを得なくなっているのです。
 では、なぜ、このような事態になってしまうのでしょう。その根本的な原因は、ズバリ写真1の構えにあります。具体的には、足とラケットの位置の問題です。詳しいことは下の写真を見ていただくとして、山口さんの処方を申し上げましょう。それは、「ツマ先立ちの姿勢で、ラケットを高く構えて待機し、前方にステップインしてボレーするようにすること」であり、これができれば、見違えるような安定したボレーを打てるはずです。

 

山口さんのケース         トッププロのケース

 

ベタ足では反応が遅く守備範囲も狭くなってしまう

 山口さんの足は、写真1の構えの時から、カカトがコートに着いています。いわゆるベタ足で、ボールを捕らえた写真3の時点でも同じです。ボレーを打つ際は時間の余裕がなく、瞬時に身体やラケットの位置を変えて、ボールに合わせなければなりません(その結果、守備範囲も写真のように狭いのです)。人間がステップを踏む時の足の動きは、プロのように、まずカカトが上がってツマ先立ちとなりステップするのです。
 トッププロをご覧下さい。待機の時からツマ先立ちで、いつでもステップできるように 準備が整っています。だからこそ、素早く前方に踏み込めるし、守備範囲も写真のように広がるのです。山口さんは、ツマ先立ちになるまでの時間の分だけ反応が遅くなるので、ボールに差し込まれてしまい、後方に足を下げてタイミングを合わせざるを得ません。

 

ラケットを持ち上げる余計な時間とエネルギーが発生する

 次に注目して欲しいのは、写真1における山口さんのラケットの高さです。
 ネットより下に構えており、そこからラケットを上に上げた後(写真2〜4)、さらにボールの高さまで上げていることがわかります。この後、ボールを捕らえて下方にフォロースルーしていますね(写真5〜6)。一方、トッププロはラケットを最初からネットより高く構え、ボールの高さまで下ろして、ボールを捕らえています。このラケットの動きの面でも、山口さんは、ラケットを上に持ち上げるための余計な時間とエネルギーを必要とするため、結果的に遅れて、ボールに差し込まれやすいことがおわかりいただけることでしょう。左の写真C〜Eのように、ラケットの高さをネットより高く構え、ツマ先立ち になることです。

 


   
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