スピンがかからない原因はズバリ「グリップと右足」だ

  厚いグリップだとラケットの動く幅が狭くなる

 下のコーチのフォームと比較してみて下さい。
 どこに問題があるでしょうか。その答えは、ズバリ「グリップと右足」にあります。宮下さんのグリップは、厚すぎる(フォアハンド・イースタングリップに近い)のです。では、なぜ厚いグリップだとスピンがよくかからないのでしょうか。
 それは、ラケットヘッドの動く範囲が狭くなるからです。私がよく子どもたちにやらせるデモンストレーションでご説明しましょう。
 人による差はあるものの、その人が手首を折り曲げた時の限界は一定です。厚いグリップの代表としてセミウエスタンを、薄いグリップの代表としてコンチネンタルの場合を比較してみましょう。手首の折り曲げは同じでも、ラケットの動く幅は大きく異なることがおわかりになるでしょう。つまり、薄いグリップの方がラケットの動きが大きく、スピードもスピンも増すというわけです。
 構えとなる写真1のラケット面だけ見れば、一見薄いグリップのように見えますが、実は手首を回してラケット面だけ合わせているのです。
 構えに入る前の動作である写真9と写真10を見て下さい。ボールをラケットでバウンドさせた厚いグリップのまま構えに入っていることがわかると思います。


コーチのスピンサービスを見ると、薄い握りのコンチネンタルグリップで打ち、
右足が右側方向でフィニッシュしていることがわかります

 間違った軌道を描く原因は右足にある

 第2の問題は、右足の使い方にあると書きました。
 これは右足が前方に出るために、フィニッシュでのラケットの位置が身体の左側に来てしまい、結果的にラケットの軌道がアウトサイドインになってしまうことです。
 これは、スライスサービスの軌道であり、トップスピンがうまく打てないのは当然で、多くの人が悩んでいる点のひとつです(これについては、シリーズの21回目で詳しく解説しましたので参照して下さい)。
 しかし、宮下さんの場合は事情が少し異なります。スクールで習っているのでトップスピンの打ち方はわかっており、その通りには打っているのですが、身体のバランスが崩れてしまうために、ラケットが右サイドに来てしまうのです。その根本原因は、前にも書いたように、右足の動きにあるのです。写真1の構えの時、写真5のトスを上げた時、写真6の打つ寸前の前の時の右足の位置を比べて下さい。右足は小刻みに右側にシフトし、身体は徐々に開き、そして写真7のボールを捕らえる時点では、右足に大きく振り出され、すべての体重を左足1本で踏ん張っています。

 


   
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