身体の前方でボールを捕らえることを覚えよう

プロは打点が身体の前方にある

 最初にプロのフォームと比較して見てみましょう。どこが一番異なるでしょうか。それは、ラケットでボールを捕らえる打点です。
プロの打点は身体の前方にあるのに、戸田さんの打点は写真8で明らかなように、左ヒザよりかなり後方で、身体の中心(おヘソ)よりも後方となっています。
スキーやアクアビクスをこなすだけの体力のある戸田さんとはいえ、この打点でボールを打つには相当な力を必要とするだけでなく、タイミングが遅れがちになってしまいます。


ドイツの新鋭キーファー選手のフォアハンドストローク。きっちり身体の前方でボールを捕らえています

 

軽いラケットが打点の遅れと手打ちを矯正する

 戸田さんが、「打点が定まらない」と書かれている通り、正しい打点より遅れていることは自覚されているようです。
 この戸田さんのような悩みを抱えている人には、フォームを重視して教えるスクールでテニスを習った人が多いのは事実です。
このようなプレーヤーを矯正するためには、私の経験上、とても良い方法があります。
それは、その人が使っているラケットよりもっと軽いラケットに代えて打たせる方法です。
従来は、ジュニア用の軽いラケットを用いて矯正していましたが、最近ヘッドで開発されたTIS6のラケット(ワールド通商扱い。рO3−5977−1381)が、この目的にきわめて有効であることがわかりました。
 このラケットは、長ラケかつ厚ラケでありながら、225グラムという超軽量であり、片手だけのスイングでスイングスピードを上げられるだけでなく、ジュニア用ラケットと異なり、通常のラケットの打球感と同じである点で、画期的なラケットと言えます。
トップスピンもアンダースピンも手の平感覚で自在に打てるので、車椅子プレーヤーや非力なプレーヤーにも大きなメリットをもたらすことでしょう。

腕相撲の実験で最適な打点を実感してみよう

 矯正法にかかる前に、打点について復習しておきましょう。
 戸田さんのような手打ちの傾向がある人に打点を理解してもらうには、腕相撲の実験が有効です。
友人またはコーチと手を組み、横から見てヒジより後方(1)、ヒジの位置(2)、ヒジより前方(3)の位置で、相手に一定の力を加えてもらって下さい。どの位置が最も力が入るでしょうか。それは(3)です。手がヒジより前方にある時が最も力が入りやすいのです。
写真8を見ると、ラケットはヒジより後方にあり、ヒジとの関係から見ても、力が入りにくい打点になっていることが、おわかりいただけると思います。では、さっそく矯正法にかかりましょう。

 


   
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