STEP1  椅子に腰かけてトスを調整することで高さを矯正する

 岡松さんには、まずトスの高さを矯正したいと思います。
 下の図のように、椅子に腰かけ、車椅子の人のようにサービスして下さい。ジャンプはしないのですから、目や頭の高さ、腕を伸ばした時のラケットの高さは一定です。従来のように、うんと高く上げたトスから、徐々に低くして打ち、サービスのスピードと、狙ったコースの正確さの両方から判定して欲しいのです。うんと高く上げ、落下速度がどんどん増して来るボールを打つよりも、腕を伸ばした時のラケットの高さから50センチくらい上にトスして、静止状態に近いボールを打つ方が、サービスしやすいことがわかると思います。  サービスを入れることは考えないでけっこうです。トスの高さが一定になり、同じリズムでサービスできるようになるまで練習して下さい。

静止状態に近いボールを打つ方が
サービスしやすいことを知る

 椅子に腰かけ、車椅子の人のようにサービスしよう。うんと高く上げたトスから徐々に低くして打ち、スピードとコースの正確さの両方から判定して欲しい。最初は入れることは考えなくて良い。

 

STEP@ トスの位置を前後に変化させてサービスを打つ

 最初のステップでトスとサービスの動作が安定したら、やはり椅子に座ったままで、トスの位置を前後に変化させて打ってみて下さい。  フラットの速いサービスを打つには前方に、入る確率を高めるためのトップスピンを打つには後方に、スライスサービスを打つには、その中間にトスするのが打ちやすいことがわかると思います。3球ずつサービスを行ない、フラット、スライス、トップスピンの打ち分けが、連続して5セット成功するようになるまで練習して下さい。

フラット、スライス、トップスピンの打ち分けを成功させる

 椅子に座ったままでトスの位置を前後に変化させてサービスを打ってみよう。フラットは身体の前方に、トップスピンは身体の後方に、そしてスライスはその中間にトスをする。

 

STEP3 立って80パーセントの力でサービスを打って確認する

 今度は、いよいよ実際に立ってサービスしてみましょう。
 ステップ1と2でマスターしたトスの高さとフラットサービスのトスの位置を守りながら、ジャンプしないで80パーセントくらいの力でサービスしましょう。手首を柔らかくしてフラットサービスを打つのです。どうですか。80パーセントくらいの力で打っているのに、今までのサービスと比べて、思いもよらぬスピードが出せることを知って、きっと驚かれることでしょう。ここから先は、岡松さん独自の個性づくりの分野です。従来の上下のジャンプを前方へのジャンプに変え、着地点とベースラインの間の、どの位置にトスを上げてサービスすると、フラットの速いサービスが、またセカンドのトップスピンには、どの位置がいいか、ジャンプ分のどれくらいトスを高くすればいいのかを設計して、その練習を積んでマスターするのです。デュースコートとアドコートと、交互に3球ずつサービスし、フラット、スライス、トップスピンの打ち分けを行ない、連続して5セット成功するまで行なって下さい。これができるようになったら、ビデオを送って下さい。チェックして次のメニューを出したいと思います。


ジャンプしたからサービスの速度があがるとは限らない事実を知る

 今回は180センチ以上の身長を持ちながら、サービスに切れとスピードがないという岡松さんの悩みを取り上げました。
 岡松さんの悩みを分析すると、2つの原因があることがわかりました。ひとつはジャンプしていること。もうひとつは、トスが高過ぎることです。岡松さんに限らず、ジャンプすればサービスの速度があがると勘違いされている方はとても多いのです。しかし、ただジャンプするだけだとエネルギーは上を向かって行くだけなのです。そこで、前方への体重移動が起こるようにジャンプすることが必要だと解説しました。また、トスが高過ぎると落下スピードが速くなるので、合わせるのは至難の技です。
 岡松さんの悩みを完全に解消するために、私は3つの矯正方法を提案しました。椅子に座って腰かけ、トスを徐々に低く打つことでトスの高さを矯正し(矯正法1)、次にトスの位置を前後に変化させることで3種類のサービスを打ち分けてもらいました(矯正法2)。そして、最後に立って80パーセントの力で打ってもらいました。
 皆様も、もしジャンピングサービスでイメージ通りのスピードが出ていなかったら、今回のアドバイスを参考にして下さい。



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