クリニックしてもらいたい点 自分のパートナーにポーチさせるには、どうしたらいいのか? テニス歴20年 東京都・豊島区在住 椎津 育子 女性・30歳
テニス歴が20年の椎津さんから試合のビデオが送られてきました。かなりのキャリアをお持ちの方で、質問の内容はメンタル的な悩みと、ポーチでした。しかし、実際に見てみると、相手チームを観察してゲームプランをたてることを忘れているようです。
ダブルスでは特にゲームプランをたてることが大切だ
サービスキープ率の差が勝敗を決した 週に5日くらいプレーしているテニス歴20年の椎津さんから、実際の試合のビデオとともに、自分より強い相手と思った途端に身体が動かないという悩みと、パートナーにポーチさせる配球の相談を受けました。 自分たちのチームの特徴を知ることが先決 両チームの各個人の力に大差はありません。しかし、椎津さんのチームがこの対戦チームより上のレベルの相手に勝つには、現在のプレーの仕方では相当難しいと言わざるを得ません。その理由を一言で言うと、椎津さんのチームのプレーには、“ゲームプラン”が見られないからです。Bさんのサービスの矯正や左利きの椎津さんがフォアサイドでいいか等、長期的視野で取り組めば、相当のレベルアップが図れます。
下の図のように、椎津さん(A)とパートナーのBさん、対戦相手のチームをCさん(フォアサイド)とDさん(バックサイド)とすると、写真が示すように、椎津さんとCさんが左利きで、ともにフォアサイドでプレーするという珍しい組み合わせの試合でした。相手チームのDさんからサービスが始まる1セットマッチの経過は表1のようになります。両チームとも、練習量の豊富が一見して明らかであり、日本の女子ダブルスの典型的な試合であることがわかります。というのは、サーブ&ボレーに出ることが少なく、サービスのブレーク合戦を呈する試合だからです。
表2は、この試合での4人それぞれのサービスキープ率を表2に示しています。結局、この表から明らかなように、BさんとDさんのキープ率の差が勝敗を分けています。
ゲームプランをたてるには、まず、自分たちのチームの特徴を知ることが必須です。椎津さんのチームの特徴を以下にまとめてみます。
1左利きプレーヤーがフォアサイドでプレーする珍しいチーム。
2椎津さんのバックボレー、パートナーのBさんのフォアボレーに難点がある。
32人とも、サービスのコースの打ち分けができておらず、Bさんのサービスが非常に弱い。
4スマッシュやハイボレーは上手である。
5ロブを含めて、高低差を利用するショットがきわめて少ない。
左利きのプレーヤーがともにフォアサイドという珍しい組み合わせの試合
椎津さんがサーバーの時の写真
椎津さんがレシーバーのパートナーの時の写真
ビデオを見ると、椎津さん(A)と相手のCさんがともに左利きでフォアサイドにいることがわかります。普通、左利きはアドコートにいた方がその優位性を生かせるのですが・・・・。ともあれ、このポジションで試合は始まり、椎津さんのチームはこのセットを落としてしまいました。
表1 試合はサービスブレーク合戦の末に椎津さんのペアが善戦空しく敗退
左の表1は試合の経過を示しています。ビデオを見てわかったことは、椎津さんの試合は典型的な日本の女子ダブルスだということです。つまり、サーブ&ボレーが少ないので、おのずとサービスゲームのブレーク合戦の様相を呈していました。
ブレーク成功
Dさんがサーバー
Bさんのサービスダウン
ブレークできず
Cさんがサーバー
椎津さんのサービスダウン
ブレークできず
Dさんがサーバー
Bさんのサービスダウン
ブレーク成功
Cさんがサーバー
椎津さんのサービスキープ
ブレークできず
Dさんがサーバー
表2 4人のサービスキープ率を調べると、BさんとDさんの差が勝敗を分けた
私は4人のサービスキープ率を調べました。その結果、左の表2のように、パートナーのBさんと対戦相手のDさんの差が勝敗を分けたことがわかります。また、全体を通して言えることは、椎津さんのチームにはゲームプランがないということです。
椎津さん(A)
50%
Bさん
0%
Cさん
50%
Dさん
33%